獣医師が解説!犬と猫の心肺蘇生法について

2012年に小動物領域において、大規模な研究調査により、動物の心肺蘇生アルゴリズムが制定されました(RECOVER) 。これにより、エビデンスに基づいた緊急時の対応が獣医療でも可能になってきました。動物病院に勤務しているとエマージェンシー状態で来院する動物に遭遇することがあります。そこで、今回は簡潔に緊急時の対応について解説していきます。

犬と猫の緊急状態とは?

緊急性の高い症状とは、その状態が長く持続すると心肺停止に陥る可能性が高いものです。呼吸困難や失神、発作重積、ショック状態など様々です。
本記事では呼吸停止や心停止の際に行う気道確保と心臓マッサージについて解説します。

まずは心臓マッサージを行う

呼吸や心臓が停止している場合、一刻も早く酸素の供給を行う必要があります。酸素の供給が1分遅れる度に蘇生率が約10%ずつ低下すると言われている程です。
そのため、胸部の上下運動がなく呼吸停止している状態であれば、酸素灌流のためにすぐに心臓マッサージを始める必要があります。

並行して人工呼吸を行う

人員がいれば、心臓マッサージと同時に人工呼吸を行うために、気管内にチューブを設置し気道を確保します。呼吸が停止している状態で酸素を送っても、肺でガス交換が行われないと心臓マッサージの効果がなくなってしまいます。
そのため、心臓マッサージと人工呼吸は、非常に重要であることが分かります。

心臓マッサージについて

心臓マッサージのポイントとして、心臓を圧迫することで血液を全身に送ることと同等に重要なことがあります。
それは、圧迫をしっかりと解除することです。圧迫を完全に解除することで、胸腔内の圧力を下げ、肺からの血液を受け取ることができます。

コツは120回/分のペースを目安に圧迫と休止の時間が1:1になるようにリズミカルに行うことです。圧迫の強さは体格により変えますが、胸の深さの1/3が沈むような強さを目標に行います。
これにより心臓マッサージの効果が最大化されますが、心臓マッサージで得られる心拍出量は、正常時の30%ほどといわれています。

薬の投与と点滴

同時に、エマージェンシーの原因疾患によって適宜、必要な薬剤や点滴の投与を行います。具体的には、アトロピンやアドレナリンのような心臓の拍動を促すもの、肺水腫の過剰体液に対する利尿薬、発作に対する安定薬、ショックに対するステロイドなど疾患の原因により必要な薬剤を選択します。

最後に

動物病院には経験豊富なスタッフ、酸素室などの設備や必要な薬剤が揃っています。ご家族の状態に異変があるときは獣医師に指示を仰いでください。

また、状態の急変や緊急の処置が必要になる可能性のある疾患を抱えている飼い主は、夜間診察を受け入れているお近くの動物病院の連絡先・所在を控えておくようにしましょう。

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