獣医師が解説!上部気道閉塞と下部気道閉塞について

犬や猫における気道閉塞は上部気道閉塞と下部気道閉塞に分類されます。今回はその両方で起こりやすい疾患や動物病院での対処について書いていきます。基本的な治療戦略としては、気道を物理的にまたは機能的に閉塞している原因を除去することに焦点が当てられます。

気道閉塞になる理由

犬と猫の気道閉塞は2種類あり、上部気道閉塞と下部気道閉塞が考えられます。異なる点としては、上部気道閉塞では吸気の時にお腹の動きが大きくなり、吸気の時間が長くなることがあり、胸腔内気道閉塞では呼気の時にお腹の動きが大きくなり、呼気の時間が吸気の時間よりも長くなります。

上部気道閉塞

上部気道閉塞は鼻腔内、喉頭や咽頭の疾患が多く、吸気の通り道が狭くなるため、一般的には空気を吸う時の力がかなり加わり、呼気に比べて吸気の時間が長くなることが特徴です。気管を通るときにゼイゼイと音を立てたり、いびきが息を吸うときに聞こえることがあります。声の変化があることもあります。

上部気道閉塞の理由

犬で考えられる疾患でよくあるのは短頭種に多い短頭種気道症候群、またシベリアンハスキーやゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーで多く見られる喉頭麻痺があります。重度の気管虚脱(気管の内腔が狭くなる病気)では上部気道、胸腔内共に閉塞を導きます。まれに上部気道閉塞の要因となるのが異物、腫瘍、肉芽腫、生まれつきの気管形成不全などです。

上部気道閉塞の症状

犬や猫の上部気道閉塞では慢性的な症状を示していることが多いですが、急性の呼吸困難を示すことがあるので注意が必要です。これは呼気時の努力(力を入れること)によって閉塞がさらに悪化していて、病態が進行しているためです。早めに気づいて対処すれば内科的な治療で緩和してあげることが可能です。
特に、暑さ、興奮、肥満は呼吸の悪化要因になるため、注意してください。
内科的治療としては、酸素室に入れてあげたり、鎮静薬、ステロイド剤で炎症を軽減することが多いです。上記で呼吸困難が改善しない場合は、気管チューブという管を気管に入れ気道を確保してあげる必要があります。

下部気道閉塞

胸腔内の気道閉塞は上部気道閉塞と比較すると珍しく、上部気道閉塞が吸気時の努力呼吸だったのに対し、呼気の時に呼吸努力が見られます。呼気の時間が吸気の時間よりも長くなる傾向があります。

下部気道閉塞の理由

犬や猫で最も多い下部気道閉塞の理由は慢性気管支炎や肺気腫などが挙げられます。この場合、呼気時の空気の排出が滞るため、呼気時間が延長することが考えられます。その他、気管支虚脱や異物、寄生虫感染、気管の腫瘍、リンパ節の腫大による気管の圧迫を鑑別として考えます。

胸腔内気道閉塞の症状

早い速度でゼイゼイと呼吸をしている時や咳のような音が呼気時に聞こえる時にはこれを疑います。基本的に治療は上部気道閉塞と変わりません。鎮静(落ち着かせること)、酸素供給、鎮静薬を使用して状態を安定させます。慢性気管支炎を持つ犬では気管支拡張薬やコルチコステロイドを投与する場合があります。

 

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