犬と猫の急性腎不全を獣医師が解説!

腎臓は、体にとって必要なものをろ過し、再吸収する一方で、老廃物を尿として常時排泄しています。腎臓には心臓から流れ出る血流の20%を受けるといわれており、血液を介した影響が大きいです。なので、虚血/毒性物質の影響を受けやすく腎皮質は特に感受性が高くなっています。

犬と猫の腎臓に毒素が流れてくるとATPというエネルギーを産生する機能を阻害し、虚血は ATPをどんどん消費してしまいます。これによりナトリウム-カリウムポンプが機能しなくなり、細胞が腫大、死滅してしまいます。

今回はこの急性腎性腎不全を引き起こす毒素と虚血を引き起こす要因について考察していきます。

急性腎不全を引き起こす毒素

治療薬/重金属/有機化合物/色素/化学療法薬/静脈注射薬/その他が考えられます。 腎臓に対する毒性は治療薬の副作用として見られることもあります。教科書的には、抗生物質であるゲンタマイシンは腎毒性を持つ治療薬として有名です。そのため、用法と容量を適切に管理する必 要があります。

治療薬
抗生物質:アミノグリコシド系、サルファ剤、テトラサイクリン系
抗真菌薬:アムホテリシンB
鎮痛薬:非ステロイド系抗炎症薬など

重金属
鉛、水銀、カドミウムなど

有機化合物
エチレングリコール、四塩化炭素、クロロホルム、殺虫剤、除草剤

色素
ヘモグロビン、ミオグロビン

静脈注射薬
レントゲン造影剤

化学療法薬
多くの抗がん剤。主にシスプラチン、シクロホスファミドなど

その他
ぶどう中毒、ヘビの毒など

上記をみると、意外にも獣医師側が気を付けるべき点が多くあることに気づくと思います我々も、腎臓だけでなくその他の臓器、動物種、年齢、ペットのバックグランド、様々なことに配慮しながら薬の処方をしないといけません
夜間動物病院.comでもぶどう中毒非ステロイド系抗炎症薬(アスピリン)は取り上げましたので、ぜひそちらもごらんくださいね!

急性腎不全を引き起こす虚血について

犬と猫の虚血性腎不全が起こる原因として以前から考えられているのがレプトスピラ症です。 腎臓の血管で炎症を起こし、腎臓を腫大させ虚血を招きます。その他にも汚染された小麦トウモロコシがペットフードに含まれたことによる急性腎不全の報告もあります。

腎臓の虚血を起こすリスクファクターを以下に掲載します。軽度のものから重度のものまで 様々ですが、症状が表れないこともあります。

脱水
出血(循環血液量の減少)
麻酔深度の低下
敗血症
子宮蓄膿症
ショック
火傷や外傷
輸血の反応など

急性腎不全の対応

急性腎不全の治療の目的は腎臓の血行動態を把握し、原因を除去、水分量と電解質を整え、腎臓の機能がこれ以上悪化しないようにすることになります。 基本的に動物病院に来院時には、多くの場合、脱水が生じており、電解質のバランスがみだれているため、静脈内輸液が不可欠になります。
今回は、腎性の腎不全をクローズアップしましたが、急性腎不全には、腎前性(腎臓以外の異常によるもの)、腎後性(腎臓以下の尿路系:尿管・膀胱・尿道)の異常によっても生じます。特に、猫ちゃんでは、尿管結石尿道閉塞による急性腎不全は、臨床的に多いように見受けられますので、次回は尿管結石に注目してみたいと思います。

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