お腹が張ってる?腹水貯留から考えられる病気3選

腹水とは簡単に言えば、「腹腔内に水が溜まる症状」のことを言います。腹水自体も呼吸を苦しくするなどの弊害がありますが、問題の本質は腹水がたまる状況それ自体にあります。
人間ではビールの飲み過ぎなどで大きくお腹がくれて「ビール腹」なんて言われますが、犬ではそんな容易いことではなく、重篤な疾患のサインの一つになります。
そこで、今回は腹水から考えられる病気を3つあげていきたいと思います。

腹水の分類

「腹水」といってもたまる水は、様々です。血液成分から、膿のようなものまで。
腹水は大きく2種類に分類されます。

漏出液:血漿膠質浸透圧の低下(主にアルブミンの低下など)によって、血液中の液体成分が血管外に染み出るタイプ。               「漏れ出るイメージ」
滲出液:血管透過性の上昇、静水圧の上昇により体液が染み出るタイプ。「染み出るイメージ」

腹水の適切な性状検査は、腹水貯留の原因解明の有用な手段として、原因疾患の特定に役立ちます。

循環器疾患〜右心不全〜

循環器疾患において腹水の貯留はしばしば遭遇します。その直接的な原因を端的に言うと「右心房圧の上昇」です。
右心房は前・後大静脈の受け入れ場所であるため、何らかの原因で右心房圧が上昇すると血流が滞り、静脈圧も受動的に上昇します。すると毛細血管での静水圧が上昇し、血管外に血液の液体成分が流出します。その結果、腹腔内に水が溜まってしまうのです。

右心不全の症状は緩やかに出現するため、その分発見が遅れることも多いです。少量の腹水貯留では症状は呈しませんが、多量になると食欲不振や運動したがらない、呼吸困難を引き起こします。

炎症性疾患〜一次性腹膜炎・二次性腹膜炎〜

炎症に伴う腹水は、主に腹膜炎によって生じます。腹膜炎では末梢血管の拡張や毛細血管の透過性が亢進することで腹膜の浮腫が生じます。その後、タンパク質を含む血液成分が腹腔内に流出し、腹水が貯留します。

腹膜炎はその原因により一次性と二次性に分けられます。

一次性腹膜炎:猫伝染性腹膜炎(FIP)

一次性腹膜炎は腹腔内に原因となる疾患が存在せず、血行性の感染によって生じます。一次性はあまり頻度は高くありませんが、その中でも発生頻度が高い疾患として猫伝染性腹膜炎(FIP)が挙げられます。
FIPは2歳齢未満、純血種、多頭飼育下、ストレスなどといった要因で発症リスクしやすく、重篤で致死性の高い病気です。

二次性腹膜炎

二次性腹膜炎は一次性とは異なり、腹腔内に原因となる疾患が存在し、化膿性と非化膿性に分類されます。

・化膿性腹膜炎
化膿性腹膜炎は細菌などの微生物が原因であり、消化管に穴が空き、そこから腸内細菌による腹膜炎が最も一般的です。

・非化膿性腹膜炎
非化膿性腹膜炎は腹腔内への異物混入や胆嚢破裂や総胆管の傷害、急性膵炎、膀胱破裂、腹腔内腫瘍など様々な要因があり、原因に関わらず重度の腹膜炎から全身性炎症反応症候群(SIRS)および循環血液量の減少で多臓器不全に至ることが多いです。

腫瘍性疾患〜血腹〜

腹腔内での出血による腹水貯留(血腹)生命に関わる緊急疾患で、腫瘍を原因であるケースは81%と大部分を占めています。腫瘍の発生部位は脾臓が多く、脾臓を含めた腹腔内腫瘍の破裂に伴う出血が主な原因となります。

まとめ

・腹水貯留自体ではなく、貯留を起こしている原因を探る必要がある。
・腹水貯留の原因としては、右心不全・腹膜炎・腫瘍など重い疾患が多い。
・腹水を抜くことは一時的な改善にはなるが、根本的な治療は、腹水貯留を起こしている病気に対して行う。

 

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