短頭種の目の病気を解説|パグやブルドッグ必見!

近年、パグやフレンチブルドッグなどの短頭種がブームになりつつあります。大きなまなざし、愛嬌のあるつぶれ顔、それでいて甘えん坊なところがたまらない短頭種。

しかし、目が大きく、眼球が突出し、鼻が低い特徴的な顔立ちをしているからこそ、好発しやすい疾患もまた特有のものが多いようです。

今回は、パグやフレンチブルドッグなどの短頭種で好発しやすい疾患を『眼』にピンポイントして紹介します。

短頭種(パグやフレンチブルドッグ)で好発する眼科疾患|目の病気を解説

パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は解剖学的・形態学的な特徴により、多くの眼科疾患において好発品種となっています。

短頭種で目の病気が起こる原因は?

・頭蓋の長さに対する相対的な眼瞼裂(上下の瞼の裂け目)が大きい
・眼窩が浅い
・強膜が露出している
・鼻のシワ(鼻皺襞)の形成

これらの原因が複合的に影響して眼窩疾患を引き起こしています。
このように大きく突出した眼球に加わる外部刺激、鼻皺襞上から発毛した被毛が角膜に接触する睫毛乱生を生じることが多く、角膜潰瘍や眼球脱出や、ドライアイを呈します。

短頭種で起こるドライアイ

獣医療においてドライアイの定義は難しいと言われています(自覚症状の把握の問題や涙の安定性を客観的に評価しずらい)。

短頭種においては兎眼や不完全な瞬き眼瞼内反、睫毛乱生、過剰な鼻皺襞などにより、オキュラーサーフェス(角結膜上皮や涙液など眼の表面を守る構造)の健常性が損なわれていることが多いです。

これらの変化は、涙液の蒸発亢進や慢性的な角結膜炎や眼瞼炎を引き起こし、ドライアイが生じます。ドライアイはオキュラーサーフェスの状態をさらに悪化させるため、悪循環を引き起こします。

そのため、短頭種では急激にドライアイが悪化し、角膜潰瘍の併発、細菌感染や角膜実質の融解から角膜穿孔に至る危険性もあります。

短頭種で起こる睫毛異常

睫毛異常は、睫毛の発毛部位と形態から異所性睫毛、睫毛重生、睫毛乱生の3つに分類され、短頭腫でよく問題になるのは、内眼角の被毛による睫毛乱生と鼻皺襞による睫毛乱生です。

・異所性睫毛

異所性睫毛は、本来睫毛が発毛するはずがない眼瞼結膜から睫毛が発毛する状態をいい、どんな犬種にも関わらず発症し、若齢にうちに何らかの症状を呈します。角膜への刺激により流涙や結膜充血、眼瞼痙攣などの症状が認められ、角膜潰瘍を生じることも多いです。
治療法はひとまず異常睫毛を除去することです。その他の症状がない限り、除去したことで症状は改善されますが、再発毛に伴い症状は再発します。再発が繰り返される場合は、毛根切除を行う場合もあります。

・睫毛乱生

睫毛乱生とは正常な位置に生えている睫毛や被毛が眼球に向かって生えており、角膜が接触している状態をいいます。また、眼窩の浅さと眼球の露出により、皺の被毛が角膜に接触し、流涙や角膜色素沈着、血管新生、角膜潰瘍が生じます。
治療法は異所性睫毛と同様、異常睫毛を除去することを第一としますが、根治的な治療法は涙丘切除や眼瞼形成術など行う可能性がありますが、顔の形が変わってしまうことがあるため、理解しておきましょう。

短頭種で起こる色素性角膜炎

色素性角膜炎は慢性的な角膜への刺激により色素沈着が生じる疾患で、パグ、シー・ズー、ペキニーズなどで好発し、長頭種に比べて急激に進行します。
短頭種で好発する主な原因は浅い眼窩、広い眼窩裂などの解剖学的要因と長頭種に比べて角膜の知覚低下が示唆されるため、角膜上皮のバリア機能の低下や角膜の治癒遅延、感染を引き起こしやすいとも考えられます。
アメリカでの報告によるとパグにおいて、罹患率は82%と言われております。

今回は眼窩疾患に絞って紹介しました。後半では呼吸器疾患、皮膚疾患などを紹介します。

眼球脱出

眼球脱出は遭遇する機会は多くないものの、眼科領域における緊急疾患の一つです。短頭種はもともと眼球が突出した傾向にあり、眼窩が浅く容積も少ないという解剖学的特徴もあるため、弱い外力でも眼球脱出を起こしやすいのです。また、交通事故や落下事故で頭部や頸部に過度な圧力が加わるだけでも脱出に至ります。
臨床徴候としては外眼筋の断裂による斜視、眼瞼による眼球の絞扼、結膜の重度浮腫および充血、角膜の露出による乾燥、強膜裂傷および出血、眼内出血、視覚障害など様々挙げられます。
眼球脱出の治療法は以下のポイントに注意して治療します。

・視覚の温存は可能かどうか
・眼球が温存可能かどうか
・斜視や眼球突出、角膜障害が残存するかどうか

これらを基準に眼球をできるだけ眼窩内に整復して救済するか、眼球を摘出するかを判断します。

短頭種で起こる目の病気のまとめ

・短頭種ではその解剖学的な特徴から、目の表層(角膜)の疾患になりやすい

・角膜疾患で注意すべき症状は、充血・目ヤニなど

・目の表層の疾患は、放置すると角膜潰瘍を引き起こす

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2018年11月22日

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「ペットの救急医療を可視化する」をミッションに掲げるANICALの獣医師が執筆。ペット2.0を意識した世界観で問題の本質を問うような記事の作成を心掛けています。