猫にアセトアミノフェン中毒の症状|解熱薬は注意

猫も人と同様に、熱が出ることがあります。平均体温は、38度±1度前後なのでヒトよりやや高めですが、日々ともに生活していると我が子を抱いたときに熱っぽいと感じることがあるでしょう。そんな時、「すごい高熱が出ているから、ドラックストアで売っている(効力の弱い)クスリなら大丈夫だろうと思って飲ませてあげた。」「自分の常備薬をしまわずにそのまま放置していたら飲んでしまっていた。」など、ヒト用のクスリによる事故は後を絶ちません。自分のクスリがペットにとっては毒になり得ることを忘れずに、管理してください!

猫にアセトアミノフェンを含む解熱薬を与えてはいけない理由

ヒトの頭痛薬や解熱薬にはアセトアミノフェンという成分が含まれている製品が多くあります。一般的に、お薬を服用(吸収)すると、身体中に行き渡り(分布)、肝臓で各種反応が起こり(代謝)、最終的に尿中や糞便中から出ていきます(排泄)。

アセトアミノフェンの場合も同様に、肝臓で代謝を受けて無毒化されるのですが、ここで動物種間の代謝の違いが最終的に致命的な中毒へとつながるのです。言葉で説明してもわかりづらいため、少し可視化してみましょう。

猫におけるアセトアミノフェン代謝経路

 

体内に吸収されたアセトアミノフェンは、その大部分をグルクロン酸抱合及び硫酸抱合によって、代謝を受けて排泄されます。しかし、そのわずか一部が、活性代謝物になり、これが蓄積すると人でも肝臓に障害を起こすことが知られています。

しかし、通常は、グルタチオン酸抱合を受けて、無毒なメルカプツール酸になり、排泄されます。アセトアミノフェンの吸収から、排泄までの流れはご理解できましたでしょうか?

それでは、次は猫にアセトアミノフェンが禁忌な理由を説明したいと思います。

猫にはグルクロン酸抱合能がない

アセトアミノフェンはグルクロン酸・硫酸抱合により代謝・排泄されると説明しましたが、猫にはグルクロン酸抱合能がないことが知られています。その結果どうなるか見てみましょう。

 

おわかりいただけたでしょうか。猫の場合、グルクロン酸抱合ができないため、容易に有毒な活性代謝産物であるNAPQIが過剰に蓄積してしまうのです。

NAPQIは、猫のヘモグロビン中の鉄を酸化させ、メトヘモグロビンに変化させます。その結果、正常に酸素を運搬できなくなってしまうのです。 

猫のアセトアミノフェン中毒の症状

猫のアセトアミノフェン中毒の症状はメトヘモグロビン血症に伴うチアノーゼ(血液の中の酸素が欠乏して皮膚や粘膜が青黒くなること)や急性肝障害による食欲・元気の低下などから、白目が黄色くなったり尿が濃くなるなどの症状がみられます。

猫が解熱薬(アセトアミノフェン)を食べてしまったら?

必ず猫がどんなクスリ(解熱薬)を飲んだのかわかるようにして動物病院に行ってください。

飲んで特に症状がない場合でも肝臓や腎臓に何かしらの障害をもたらしている可能性があるので、必ず動物病院にかかってください。解熱薬に限らず、ヒト用のものを猫にあげないように日頃から注意してあげてくださいね。

 

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