獣医師が解説!犬の白内障が起こる理由と視覚について

一般社団法人ペットフード協会の2017年の「平成29年全国犬猫飼育実態調査」によれば、犬の平均寿命は14.19歳だそうです。寿命が延びると、その分だけ病気に罹る可能性も増加しますが、年齢による衰えも出てきます。最近ウチの愛犬の目が白くなってきたかな?と思っている飼い主さんは多いのではないでしょうか?
そこで今回は、”白内障”について解説します。

犬の白内障について徹底解説

はじめに

目が白くなる病気の中で、白内障とよく混同される疾患に”水晶体核硬化症”という疾患があります。水晶体核硬化症は見た目には白内障と変わりませんが、この疾患によって視覚を失うことはまれであり、白内障とは区別されます。鑑別のポイントとしては、白濁する部位が異なります。核硬化症の場合、基本的には経過観察で構いません。
一方、白内障は初発→未熟→成熟→過熟と徐々に進行していく疾患です。その原因や病期によって合併症の治療や治療法が異なります。

白内障の原因

白内障には先天性、後天性、加齢性などが挙げられますが、年齢からおおよその機序が推測できます。先天性の場合は、生来水晶体が白濁しています。後天性の場合、外傷性・遺伝性・全身性疾患(糖尿病など)によって二次的に生じます。加齢性の場合は、加齢による水晶体変性によって生じます。
原因がある場合にはこの原因を取り除くことで白内障の進行を抑えることができます。そのため、まずは原因を探す検査を順番に行う必要があります。

原因が糖尿病??

原因の一つとして有名なのが”糖尿病”です。高血糖が持続すると、糖代謝物質が水晶体に蓄積し、水晶体が白く濁って見えます。糖尿病の場合は身体の中の問題なので、症状は両眼に出ることが多いです。他にも外傷性や薬物性、遺伝性が関与していることがあります。

二次的白内障

また眼の構造上、眼内で起こる疾患に続発して発生する二次的白内障があります。ぶどう膜炎、水晶体脱臼、緑内障、網膜変性が発症することで水晶体がダメージを受け、白内障になります。逆に白内障の進行により、これらの疾患が発症することがあります。このように眼内の疾患はお互いに密接に関連しています。

白内障になった時の問題点

視覚の低下

1つは飼い主が一番気になる、視覚の低下です。しかし、これはあくまで主観ですが、白内障の犬自身は案外目が見えないことを気にしていないように感じます。家の中であれば問題なく歩くことができたり、暗いところだけ歩くのが遅くなる程度で生活の質が低下しないことも多いです。

合併症の発生

2つ目の問題点は合併症の発生です。白内障になった時には、合併症が出ないことを目標に治療を開始します。ぶどう膜炎や緑内障は眼痛の原因になります。炎症や眼圧の上昇で眼痛が出ると、白目が充血し、痛くて目が開けられなくなります。病期の進行に伴って合併症の発生率は上がり、外科手術が不適になるので早く気づいてあげることが大事です。

白内障の治療

人では日帰りで手術ができるほどに身近なため、外科手術がはじめに頭に浮かぶ方もいるかもしれません。しかし、犬の場合、人のように眼帯をつけて保護するなどができないため、入院や長期間のエリザベスカラーの装着が必要になります。さらに高度な専門的知識や技術、設備が必要なため、眼科専門の動物病院での治療が一般的です。また、高額な治療費をかけても、術後の合併症で視覚喪失する場合もあるため、慎重な判断が必要になります。
そのため、多くの場合、白内障は完治を目的にするのではなく、QOLを保てるような生活環境を整えてあげることが重要です。

〜まとめ〜

・白内障は加齢性と後天性がある

・白内障は進行を遅らせることは可能であるが、徐々に進行していく病気である

・早期に診断を行い、合併症を防ぐ治療やQOLの向上を目指す環境整備が重要

それぞれの合併症については今後追加していきます。

 

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「ペットの救急医療を可視化する」をミッションに掲げるANICALの獣医師が執筆。ペット2.0を意識した世界観で問題の本質を問うような記事の作成を心掛けています。