犬と猫で心停止が起こる理由と蘇生措置について解説

「エマージェンシー!」その声と同時に心臓マッサージが行われる様子をドラマなどで見たことがある方は多いと思います。気道確保+心臓マッサージは理にかなった心停止への蘇生措置であり、実際に動物病院でも心停止が起こった際には一刻を争う迅速な処置が必要になります。

犬と猫の心停止について解説

現代の獣医療領域での心停止に対する蘇生措置について解説します。

心停止の成績

人医療で心停止後に退院できるのは20-30%というデータがあります。一方、獣医療では2-10%であると言われています。これには複数の要因がありますが、一つは蘇生措置を始めるまでの時間が重大な因子になっています。

人医療では救急車、Dr.ヘリの活躍もあり蘇生措置への対応が素早く行われます。また、近年では、各種施設にAEDなどが配備されていることも、救命率が高くなっている要因として挙げられます。

一方獣医療では虚脱や呼吸困難を認めてから慌てて動物病院に駆け込む事例が多く、蘇生措置が開始されるまでの時間が長いことが救命率の低い一因となっています。

心停止で生命機能が停止するメカニズム

心臓は身体全身に血液を送る役割があり、これにより全身に酸素やエネルギーが行き渡ります。しかし、何らかの要因により、心臓からの拍出が低下した状態になると、血液の供給が停止することで、酸素やエネルギーの供給がストップし全身の細胞は数分のうちに活動を停止します。

そのため、心臓は重要な臓器であり、酸素は体にとって必須なのです。

特に脳は、血流量が豊富な臓器であり、エネルギーを貯蔵しておけないため、脳への酸素が足りない状態が数十秒続くと、代謝がうまく行われず、瞳孔散大や意識消失のような神経症状が見られるようになります。

心拍出が低下する原因

心臓や脳の低酸素や不整脈、電解質異常が存在すると心臓がリズミカルに拍動できなくなり、これによりさらに酸素の供給が滞ります。

しかし、交通事故等による大量出血などで主要臓器への重大なダメージがあり、治療による回復の望みのない場合はそれ以上の延命措置を行わない場合もあります。

これについては事前に信頼できる獣医師と共に万が一の事態が起こった場合に蘇生措置を希望するのかを事前に話し合っておく必要があります。

心停止に伴う症状

脳虚血による瞳孔散大、意識不明、反応の消失、チェーンストーク呼吸(小さい呼吸、大きい呼吸、無呼吸を周期的に繰り返す)、チアノーゼ(酸素を含んだ血液が循環しないために舌の色調が紫色になること)、痙攣発作がおこります。

動物病院に駆け込めば気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ、薬物投与、静脈点滴が速やか行われます。

心停止からの時間が短ければ短いほど救命率は上がります。

ただし、一度心停止を示した子は、心臓や肺、脳へのダメージがあることがあるので、再度心停止を起こしたり、痙攣発作が起きるなど後遺症が発生することがあります。

〜まとめ〜

心停止はいかに早く蘇生措置を始めるかが重要

可能であれば動物病院へ向かうまでの間にも酸素ボンベでの酸素の供給や心臓マッサージを行う(心停止が確実な時のみ)

心停止が起きないようにリスクになる心臓疾患、呼吸器疾患、腎臓病に代表される電解質異常を起こす疾患の治療を積極的に行いましょう

 

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