あなたは知ってる?犬の寄生虫疾患~フィラリア症~

フィラリアについては飼い主さんのほとんどの方が知っていると思いますが、詳しくは知らないし、対策した方がいいって言われるからしてる!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回はその皆さんが知ってるフィラリア症について深くみていきましょう。

分布

世界的に見ると、熱帯から温帯地域に広く分布しています。日本国内では、北海道東部・北部を除くほぼ全土に分布しています。これは幼虫(蚊の体内)の発育に20~30℃の気温が2週間以上維持される必要があるためです。そのため、温暖化の影響で、近年ではフィラリアの分布地域が拡大しているともいわれています。

感染経路と体内での発育

フィラリアの感染期幼虫である第3期幼虫を有する蚊が犬を吸血する際に、蚊の吻鞘(尖った口)から離脱し皮膚の創傷から侵入することで感染します。感染直後は皮下・筋膜下・筋肉など組織内で発育し、10日で第4期幼虫に、2ヶ月で第5期幼虫に発育します。3~4ヶ月で静脈を経由し右心室へ、5ヶ月で肺動脈内に移動します。6~7ヶ月で成虫となり、7ヶ月以降で末梢血中に次の世代である幼虫mf(ミクロフィラリア)が出現します。感染してから末梢血中にmfが出るまでのプレパテントピリオドが長いのが特徴です。

中間宿主

フィラリアを媒介する蚊は国内で4属17種います。その中でも、重要な種をピックアップして紹介します。

ヤブカ属(トウゴウヤブカ、ヒトスジヤブカ、キンイロヤブカ)

イエカ属(アカイエカ、コガタイエカ)

病害

①慢性犬糸状虫症

肺動脈炎と右心障害を主徴とし、運動不耐性、慢性の発咳、体重減少、腹水が見られます。その他にも、肺動脈弁や三尖弁の閉鎖不全による収縮期雑音、免疫複合体による糸球体腎炎、肝臓・腎臓の障害による腹水・浮腫も見られます。

②大静脈症候群

多くの虫体の寄生により、右心房~大静脈の血液循環が障害されることで生じ、急性に経過します。呼吸困難、激しい頻脈、不整脈が見られ、時に黄疸、血色素尿も見られます。

③奇異性栓塞症

宿主の心奇形により虫体が右心系から左心系に移動し、動脈系末梢血管に栓塞することで症状が生じます。

・後躯の末梢動脈→跛行、起立不能、後躯麻痺など
・肝動脈、腎動脈→機能障害
・脳底動脈→運動障害、精神障害

④mfによる病害

mf陽性犬に駆虫薬を投与すると、死滅したmfによってショック症状を呈することがあります。

予防

犬糸状虫は適切な投薬で完全に予防出来ます。犬を蚊の吸血から守ることはとても難しいので、犬糸状虫の予防薬の投与をオススメします。予防薬は感染を防御する訳ではなく、感染してから成虫に発育する前の虫体を殺滅することで発症を防ぎます。予防薬のターゲットは第3期幼虫から第4期幼虫の間が目安です。(地域によっても蚊の出現時期は異なるので予防期間は担当の獣医師さんに聞きましょう。

獣医師からひと言

フィラリアの薬を飲ませる際には、検査は必須なの?という質問を受けることがあります。一般的に行われているフィラリアの検査は、成虫のメスのタンパク抗原を検出する検査です。そのため、実は、感染してから半年くらい経過しないとフィラリア検査で陽性とはでません。
逆に考えると、感染してから半年経過していない場合、検査を行っても検出できないため、生後6か月未満の犬であれば検査を行わずにフィラリアの駆虫薬を飲ませても問題はありません。しかし、フィラリアの成長速度にも幅があるため、6か月ぎりぎりの場合は注意してくださいね!

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