犬の 傷 が治るまでのサクセスストーリー

誰しもが、一度は怪我をしたことがあるでしょう。ひっかき傷や打撲など。ワンちゃんも10年、20年も生きていれば、一度くらいは怪我をするもの。さて、傷ってどういう過程で治るかご存知でしょうか。また、傷の応急処置が重要なのは、言うまでもないと思います。ですが、なぜ重要なの?と聞かれると答えられない人も多いのではないでしょうか?その理由を傷の治り方をもとに考えましょう!

傷の治り方

傷の治り方を考えるにあたって、以下の2つの概念が重要になります。

創傷治癒機転第一期癒合/第二期癒合

創傷治癒機転とは

傷が治る過程では、炎症期(凝固相と炎症相)と修復期(線維芽細胞相と上皮化相と収縮相と再構築相)の2つのステージを経て治っているのです。適切な消毒薬や治療薬を使用しないと、傷が治ろうとする力をかえって阻害してしまうこともあります。ここからは、飼い主さんに注意して欲しいステージをピックアップして解説していきます。

炎症期の凝固相

このステージは、傷を負ってすぐ始まります。出血が起きると、血液凝固のカスケードが開始され、同時に血液の喪失を防ぐために血管が収縮します。この際、可能であれば、その後の治癒にスムーズに移行するために、汚れや異物等をしっかり洗い流してから、細菌感染しないようにしてください。

炎症期の炎症相

このステージは、傷を負って約30~60分後から始まり、3~4日間続きます発赤、腫脹、発熱、疼痛といった炎症の徴候がみられます。この時期は創傷治癒に必要な成分の入った滲出液が出ます。(黄色っぽい膿汁とは違います)これを洗い流してしまうと、治癒が遅れる可能性があります。ラップなどで覆って創傷部に留める方法が近年の主流です。
この際、注意しないといけないのが、重度の浸出液の流出がある場合です。広範囲のやけどを負った場合には、脱水に陥る危険性があります。

修復期の上皮化相

このステージは、傷を負って4~5日後に始まります。上皮細胞が表皮を再構築する時期です。この時期に濃い消毒薬を使うと、上皮細胞や線維芽細胞などの活動を阻害してしまう恐れがあります。

 

第一期癒合/第二期癒合とは

それぞれがどういう概念なのか、飼い主さんが注意することに触れつつ見ていきましょう!
第一期癒合は、手術創のような鋭利な刃物で作られた傷で、5~7日と比較的早く治癒し傷の跡である瘢痕も小さくて済みます。一方、第二期癒合汚れ、血の塊、細菌感染、広い壊死組織などが傷口に見られる場合で、治癒は時間がかかり瘢痕も大きく残ります応急処置で傷口の洗浄や消毒をしっかりして、なるべく第一期癒合できる状態に近づけた方がいいというのは言うまでもないですね。

また、この第二期癒合もうまくいかず、傷がいつまで経っても治らずじくじくしていることがあります。これは、過剰な肉芽組織により、出血傾向や上皮化が起こりにくくなった状態です。汚れや死んだ組織を取り除くデブリードメントという外科的処置が必要な状態です。

我々人間であれば、傷口の消毒や、ガーゼ交換など、目的を理解できるため、これらのことが容易にできますが、ワンちゃんや猫ちゃんはわかってくれません。そのため、消毒ですら、困難なことがあります。そのため、傷が大きい場合や、異物が傷口に入ってしまった場合などは、動物病院へ行きましょう。治療の仕方を教えてくれるだけでなく、治療時の動物の扱い方まで教えてくれるはずです。

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犬や猫の 出血 の応急処置は?獣医師監修

2018年9月22日

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「ペットの救急医療を可視化する」をミッションに掲げるANICALの獣医師が執筆。ペット2.0を意識した世界観で問題の本質を問うような記事の作成を心掛けています。