犬の血液検査でカルシウム値が高いときに考えられる病気とは

そもそもカルシウムって?

カルシウムは骨や歯を強くしてくれるだけでなく、筋肉の収縮や血液凝固促進作用、心筋の電位形成など、体の生命活動になくてはならないものです。
体内のカルシウムは骨に99%貯蔵されていて、血中に存在するものはわずか1%にすぎません。
副甲状腺ホルモンや活性型ビタミンDと呼ばれるホルモンが、骨から再吸収したり、消化管から吸収したり、腎臓から排泄したりして、血中カルシウム濃度が約10mg/dlと一定に保たれるよう厳密に調整しています。

高カルシウム血症って?

高カルシウム血症は何らかの要因により、血中カルシウム濃度が12mg/dl以上正常より高い状態です。
血中カルシウム濃度が15mg/dlを超すようになると、食欲不振、嘔吐、元気消失、多飲多尿、組織の石灰化、不整脈が生じます。そして、実は大きな病気を抱えているサインでもあります。
重度な高カルシウム血症の原因は、悪性腫瘍によるものか原発性副甲状腺機能亢進症、アジソン病によるものです。

悪性腫瘍に付随するもの

悪性腫瘍から分泌されるホルモン様物質の作用で骨から溶け出すカルシウムが多くなる、あるいは、骨に転移した腫瘍が骨を侵食することにより骨から血液に吸収され、血中カルシウム濃度が高くなります。犬で特に多く認められる悪性腫瘍を以下に挙げます。

リンパ腫

リンパ腫は犬に発生する癌のなかではよくみられる「血液のがん」で、全身性の疾患です。リンパ球は全身を循環するため、様々な臓器で腫瘍化します。一言にリンパ腫といっても、しこりとして発生するものもあれば、明らかなしこりを作らずに進行していくものもあります。症状や治療法、予後はさまざまですが、犬では体表リンパ節、消化器などに多く認められます。

肛門嚢アポクリン腺癌

肛門嚢アポクリン腺癌は肛門嚢内の腺細胞から発生する腫瘍で、高齢の雌犬に多く認められます。腫瘍の存在により排便困難などの症状や領域リンパ節への転移が高確率にみられます。腫瘍随伴症候群として高カルシウム血症を引き起こす有名な腫瘍です。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は、犬の悪性腫瘍の1%未満の稀な腫瘍です。骨髄にある形質細胞と呼ばれる細胞が腫瘍化する病気で、高齢の犬にみられます。骨転移により、骨の組織を破壊して病的骨折を起こさせることもあります。骨融解時には痛みを伴うこともあります。

原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺とは甲状腺の裏に付随する内分泌腺で、副甲状腺ホルモンを分泌し、その作用で骨や小腸、腎臓に働きかけ血中カルシウム濃度を調整しています。副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺の過形成や腫瘍などにより副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、骨がもろくなったり、血中のカルシウムが大量に尿に排出されて尿路結石ができやすくなったりします。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

腎臓の上部に存在する副腎皮質の機能が低下する病気です。副腎皮質から産生されるグルココルチコイドは破骨細胞の活動や消化管からのカルシウム吸収を抑制するとともに腎臓での排泄を増加させる作用があります。そのため、副腎皮質の機能が低下すると高カルシウム血症をきたします。
治療としては副腎皮質ホルモン剤の補充が必要となり、大半の犬は治療によって比較的普通の生活を営むことができます。

 

上記にあげた疾患以外にも、腎不全、ビタミンD過剰摂取、骨髄炎なども高カルシウム血症の原因になります。また、病気ではなく脱水による血液濃縮や幼若動物でも血中カルシウム濃度が高くなることがあります。
重度な高カルシウム血症は重大な病気を隠している可能性があるため、早期発見、早期治療がとても大事です。
犬の日々の状態をしっかり把握し、上記の症状が認められるようなら早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

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