腎臓の血液検査~BUNやクレアチニンからわかること~

アニコムから毎年発表される「家庭どうぶつ白書2017」によれば、猫ちゃんの疾患の請求割合で堂々の一位は「泌尿器疾患」となっています。もちろん、保険加入率は全体の10%にも満たないため、一概には言えませんが、やはりというべきでしょうか。「猫ちゃん=腎臓、膀胱の病気」というイメージはあながち間違えではありません。

腎臓機能の評価は尿検査、血液検査、超音波検査などから総合的に評価します。
さて、今回はそんな腎臓の機能に関する数値であるBUNCreについて説明していきたいと思います。

腎臓の役割についてはこちらの記事を参照してください。

獣医師が解説!犬と猫の腎臓の役割と腎不全

2018年10月22日

腎不全に関連する値

以下に簡単に紹介します。

クレアチニン(Cre)…
腎臓がどれだけ尿を濃縮できているかを示しています。腎機能が全体の約3割まで低下しないとクレアチニンは上昇しません。

尿素窒素(BUN)…
排泄物の身体への蓄積の指標。尿素窒素も腎機能が全体の約3割まで低下しないと上昇しません。

アルブミン(Alb)…
血液中のタンパク質。腎臓に異常があると尿中に漏れる(いわゆる尿タンパク)ので、血液検査値は低下します。

リン(P)…
一つ一つの細胞を作っている身体にとって必須の元素。代謝の過程で毎日出ます。腎機能が低下するとリンの排泄が低下し、血中リン濃度が上昇します。

カルシウム(Ca)…
骨に多く蓄積されている元素。リンとバランスを保っています。腎不全末期ではバランスを保てなくなることがあります。

カリウム(K)…
一つ一つの細胞に含まれている身体にとって必須の元素。急性腎不全では、カリウムが上昇することが多いですが、猫の慢性腎不全では逆にカリウムが低下することが多いです。

クレアチニンの理解

クレアチニンは腎臓の機能を反映する指標として有名です。代謝の過程で身体中の筋肉から毎日クレアチニンが出ています。そして、クレアチニンは腎臓で100%ろ過され、再吸収されずに尿中に出ます。
しかし、腎機能が低下して、尿を濃縮する機能が落ちるとクレアチニンは身体の中に溜まります。
つまりクレアチニンが上昇し参考基準値を超えるということは、腎臓が尿を濃縮する能力が残り3割以下にまで低下していることを示します。
そのため、慢性腎不全の重要な指標となります。

尿素窒素の理解

そもそも尿素窒素はどのようにできるのでしょうか?
エネルギーの源であるタンパク質の代謝の過程で、アンモニアが出ます。アンモニアは刺激臭のある化学物質で、身体に対しても有害です。
そのため、アンモニアは肝臓で尿素サイクルに入り、最終代謝産物として尿素窒素となります。
尿素窒素は不要な老廃物であり腎臓から体外に排出されます。

腎機能が低下すると、尿素窒素を体外に排出することができなくなる結果、血中の尿素窒素が上昇します。
このような状態では、尿毒症物質が体内に蓄積した状態であり、尿毒症と呼ばれる多様な症状を示すようになります。

リンとカルシウム、カリウムの理解

これらは血液中のミネラルの値です。腎臓が健康なうちは上手くミネラルを調節してくれます。
しかし、腎機能が低下してくるとこのバランスが崩れてしまいます。
特にリンは、予後を悪くする要因としてエビデンスが出ているため、積極的に下げる治療を行う必要があります。
さらにカリウムやカルシウムは心臓の生理的機能にに大きく関与しているので値の乱れが進行すると不整脈を起こすこともあります。

慢性腎不全の治療は?

失われた腎臓の機能は基本的に回復することはありません。
では、血液検査で腎機能の低下が考えられるときはどうすれば良いのでしょうか?
慢性腎不全の治療目標は”更なる腎機能の低下を抑制し、生活の質を高く保つこと”になります。

慢性腎不全とうまく付き合うには?

①腎臓に配慮した療法食を選択する。(腎臓系療法食はタンパク質やリンの含有量を制限しています。そのため、嗜好性は落ちる可能性もあります)

②適切な点滴で身体の循環血液量を維持し、また、老廃物の排泄を促し、血液中のミネラルのバランスを保つ。

③吸着剤やサプリメント等の内服により、タンパク質やリンが体内に吸収されないようにする。

クレアチニンと尿素窒素の値によって慢性腎不全のステージが4段階に分かれています。ステージによって必要な治療は異なりますが、多くの場合慢性腎不全のケアは一生涯必要です。
飼い主様の生活の負担にならないよう続けられる治療を獣医師とよく相談したうえで選択しましょう。

〜まとめ〜

▷腎臓は必要なものを吸収し、不要なものを排泄している

▷BUNとCreは、腎機能が70%以上失われてはじめて上昇する

▷身体の状態、及び血液検査の結果を統合して、最適な治療を選択しましょう

 

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