獣医師が解説!犬と猫の腎臓の役割と腎不全

腎臓は体にとって、重要な臓器であることは周知の事実だと思います。そんな腎臓の機能が障害され、うまく機能しない状態を腎不全と呼びます。主に加齢により徐々に機能低下が進行する慢性腎不全と、急激に機能が低下する急性腎不全があり、その中でも緊急性が高い後者について解説します。

ペットで起こる腎不全の徹底解明!

そもそも腎臓はどんな働きをしているの?

腎臓は一言で言えば「濾過フィルター」です。血液の中には日々の代謝の過程で出る”残りカス”が混ざっています。腎臓はこの汚れた血液から毒素を取り除き、必要なものは再吸収しています。イメージとしては水道水から不要なものを取り除く浄水器に似ていますね。また腎臓は基本的には一度障害を受け機能を失うと、回復しないという特徴があります。このため腎臓が機能しなくなった状態は、血液が浄化されず大変危険です。浄水器を通った水は綺麗なのでおいしく飲めますが、浄水器の機能が低下すると不純物を含んだ水を飲んでしまうイメージです。毒素やミネラルの調節ができなくなるため、高窒素血症、電解質異常を引き起こし、いわゆる”尿毒症”に陥ります。

腎不全の症状

症状としては急性の脱水、食欲低下、虚脱、痙攣、嘔吐、下痢、一過性の多飲多尿や乏尿が代表的で、さらに尿毒症により舌潰瘍、壊死、口臭が現れることもあります。

腎不全の分類

原因を大きく3つに分けると①腎前性、②腎性、③腎後性になります。つまりは腎臓自身の機能不全が原因なのか、それ以外なのかに分かれます。

腎前性
腎臓を通過する血液が極端に少なくなることで毒素を外に出せなくなる状態(循環血液量の減少、低血圧、腎臓の血行動態異常)

腎性
腎臓自体がうまく働けなくなることによるもの。急性に発症するものには中毒物質の摂取や悪性腫瘍による腎機能の喪失、寄生虫や細菌による腎炎などが挙げられます。(腎虚血、低酸素、薬物、中毒、高カルシウム血症(悪性腫瘍、上皮招待機能亢進症)、糸球体腎炎、間質性腎炎、腎盂腎炎)

腎後性
腎臓より後ろが詰まり、尿が出せないため腎臓が働けなくなる状態。(閉塞性尿路疾患)

原因や発生してからの時間によって、その後の治療への反応が異なってきます。

急性腎不全について

急性腎不全である場合には可能な限り早くその原因を取り除いてあげる必要があります。原因の特定のために早急に血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査を行います。検査結果が出揃えば、どの原因で腎不全に陥っているか、どの程度に身体が障害を受けているかがわかり、それぞれに対する治療を選択します。

腎不全に対する治療

腎不全の重症度、年齢や基礎疾患の有無によって治療への反応は異なりますが

・腎前性の場合、循環血液量を回復させる必要があります。身体の極度の脱水には、静脈点滴が非常に効果的です。

・腎性の場合は腎機能を低下させている原因を取り除き、少しでも腎臓が尿を作ることができるようにサポートしなくてはなりませ ん。この場合も洗い出し効果を期待して点滴を行います。また、必要に応じて中毒の解毒剤を使用します。

・腎後性の場合は、尿が出せなくなっている原因に対処することで、腎臓の機能が回復できる可能性があります。

根本的な考え方としては、極端に乱れた血液を点滴により正常化させること、加えて腎臓の機能回復を助けることです。具体的には逐一血液の状態を確認しながら点滴の流量や種類を変更し、薬剤の投与を要します。そのため数日間入院による集中治療が必要であると考えておいてください。どうしても腎臓の機能が回復しない場合には、設備によりますが透析治療が可能な施設もあります。ただし残念ながら治療に反応せず、腎臓が尿を作れない場合には数日以内に亡くなってしまう事が多い疾患です。

〜まとめ〜

腎臓は身体の毒素を体外に排出し、必要なものを再吸収している重要な臓器

腎臓が正常に働かない場合、毒性物質の蓄積、ミネラルバランスの破綻により、様々な症状が現れ、最悪死に至る

急性腎不全は早期診断と適切な治療で腎機能の回復を見込める

 

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「ペットの救急医療を可視化する」をミッションに掲げるANICALの獣医師が執筆。ペット2.0を意識した世界観で問題の本質を問うような記事の作成を心掛けています。