問題の本質に迫る!~犬の口が臭い~

動物病院に勤務していると、日々、飼い主さんが抱えている問題を解決するために論理的思考をフル活用する必要があります。時には、ロジックが通じないような症例に出くわすこともありますが、可能な限り本当の問題は何なのかを考えています。
さて、今回は、比較的多い相談内容の一つ「口が臭い」に対する問題解決のプロセスについてお話します。

「口が臭い≠犬が抱えている問題」

まず、「口が臭い」という問題は、飼い主さんが抱えている問題であって犬が抱えている問題ではないことです。
そこで、我々獣医師は、「口を臭わせている本当の問題は何か」を探し求めるのです。
口が臭くなる理由としては、食べているもの、胃の問題、口腔内の腫瘍・感染、歯周病などが挙げられます。そこで、問診や視診を行うことで、歯石の沈着を発見したりするわけです。

「口が臭い=歯周病がある」と分かった!次は?

病院で普段は見せてくれない口の中の状態がわかることで、現在の歯石沈着や歯肉の赤みなどのひどさに驚かれる飼い主さんは案外多いです。
問題の根底が、歯周病にあるとわかりました。さて、あなたは、次に何を希望しますか?
歯石除去や、オーラルケアの仕方などでしょうか。しかし、幼い頃から、歯磨きをしていないとなかなか歯磨きは難しいことがあります。そこで、歯石除去を希望される飼い主さんは多いです。
問題は、歯石除去の方法なのです。近頃、無麻酔で歯石除去を希望される人がいます。目に見余る歯石を除去してほしいと。ここが肝です。

「歯周病の治療≠歯石除去」であること

飼い主さんの中には、歯石が取れれば、歯周病が治ると思われている方がいます。というのも、歯石除去を行うと見た目上は、奇麗になるからです。
しかし、少し待ってください。歯周病の本質的な問題は何でしょうか?

歯垢中の病原細菌を減らすことなのです。

もちろん、歯石を除去することも重要です。歯石は二次的な、歯垢の付着の土台になるため、除去してあげることが大事です。その意味では、無麻酔スケーリングは意義があるとは思いますが、スケーリングのみだと歯の表面が傷ついたままなので、ポリッシング(歯の表面をつるつるに磨き上げる)を行う必要があります。
この作業は、無麻酔では不可能だと思います。
さらに重要なのが、歯垢中の細菌を除去することです。つまり、歯周ポケットのお掃除です。歯と歯肉の間に、超音波スケーラーなどを入れて溜まっている歯垢を取り出してあげる必要があるのです。

「口が臭う=歯周病」と分かった!何よりも重要なこと

歯周病になることを防ぐには、「毎日の歯磨き」これにつきます。獣医師であり、飼い主でもある立場からすると小さい頃から、「歯磨き」をすることが歯周病の予防、進行を遅らせることにつながります。
そして、歯周病を予防することは寿命を延ばすことにつながります。はたまた、「医療費の軽減」にもつながります。
定期的なオーラルケアが、結果として将来の出費を減らすことにつながることを覚えておいてくださいね!

次回は、犬のオーラルケアについて説明していきたいと思います!

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