犬と猫の肺実質の病気 | 呼吸困難が起こる疾患

犬と猫で呼吸困難が起きる原因は、主に呼吸器の病気と循環器の病気によるものです。前回は、気道の閉塞について解説しましたが、今回は、末梢気道及び肺実質の疾患についてフォーカスを当てていきたいと思います。

犬と猫における肺の病気の種類と治療の概要

ヒトの場合は、呼吸器疾患は患者の協力が得られるため、呼吸の機能検査を行うことができますが、犬と猫の場合それができません。そのため、肺の病気の種類を機能ではなく、病態から分類されることが多いです。
・閉塞性疾患
・間質性肺疾患
・肺水腫
・肺塞栓症
・気管支肺炎
・誤嚥性肺炎
上記の6つの病態に分類されます。

閉塞性疾患

末梢気道が狭くなることで、呼気障害が生じます。代表的な疾患は、慢性気管支炎・肺気腫などです。

呼吸困難時の初期治療
酸素吸入や気管支拡張薬

間質性肺疾患

肺の血管と肺胞の間の領域の炎症や線維化を起こすことで、ガス交換障害を引き起こします。代表的な疾患は、特発性肺線維症・好酸球性肺炎・全身性免疫介在性疾患などです。

呼吸困難時の初期治療
酸素吸入

肺水腫

肺の空気が入る領域が液体で満たされてしまうことで、ガス交換障害を引き起こします。代表的な疾患は、心原性肺水腫です。

呼吸困難時の初期治療
高濃度酸素吸入

肺塞栓症

肺に向かう動脈や毛細血管に血栓や空気がつまり、換気が行われない領域が拡大します。この場合、過換気になることが多いです。代表的な疾患は、肺血栓塞栓症やフィラリア症です。

呼吸困難時の初期治療
酸素吸入 。血栓であれば抗血栓治療

気管支肺炎

末梢気道及び肺胞の細菌感染症により、ガス交換障害を引き起こします。

呼吸困難時の初期治療
酸素吸入 ・気管支拡張薬・抗生剤の全身投与

誤嚥性肺炎

胃液や食塊が気管支内に流入し、過剰な炎症反応がその流入領域に生じます。それにより、気管支の収縮、炎症による浸出液がガス交換領域を満たします。

呼吸困難時の初期治療
酸素吸入 ・気管支拡張薬

肺実質の疾患の治療薬

上記に述べたように、犬や猫で肺疾患による呼吸困難が起こっている時の治療としてはまずは酸素治療が考えられます。これだけで不十分の場合にはそれぞれの病態に合わせた治療を行っていきます。
使う薬として考えられるものには以下のようなものがあります。

・気管支拡張薬
・利尿薬
・グルココルチコイド

気管支拡張薬について

テオフィリンやβ作動薬は気管支の狭窄をできるだけ軽減する効果を期待して使用されます。酸素と併用することで気管支疾患に対する治療の選択薬となります。

利尿薬について

フロセミドなどの利尿薬は肺水腫の管理に使用されます。病態が安定しない犬や猫では肺水腫を鑑別するために使用することもあります。ただし、循環血液量の低下と脱水が起こることがありますので使用には獣医師の指示をしっかりと守りましょう。気管支炎が慢性的に起こっている子では脱水によって気道と気道内の分泌物の乾燥を導くことがあるとも言われています。

グルココルチコイドについて

グルココルチコイドは炎症を抑える薬です。グルココルチコイドの気管支炎や呼吸困難を呈している動物への短時間の使用は推奨されていますが、長期で使用すると免疫抑制の効果が出てきてしまうため注意が必要です。

敗血症、細菌性肺炎、誤嚥性肺炎の場合

これらの疾患を疑う場合には広域の抗菌スペクトル(比較的多くの細菌に有効)の抗菌薬を投与します。状態が安定しておらず敗血症が疑われる場合には血液や尿を検査し、菌を確定しますが、基本的には経験的に呼吸器に多い菌を想定し、その菌に効果的な治療薬を用いることが多いです。

これらの治療でも反応しない場合

犬や猫で上記の治療で反応がない場合には気管支鏡検査などのさらに詳しい検査を行い、診断を確定し特異的な治療を行う必要性が出てきます。しかし、多くの場合は上記の治療で反応することがほとんどです。ただし、呼吸器の疾患は、命に直接かかわるため、良化しない場合は、専門医の診察を受けることも選択肢の一つです。

 

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