獣医師が解説!犬の子宮蓄膿症が起こる理由と予防

「子宮蓄膿症」、犬と一緒に暮らしている方であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?そもそもどのような病気なのでしょうか?また、子宮蓄膿症にならない方法はあるのでしょうか?はたまた、なってしまった時はどうすれば良いのでしょうか?そんな疑問についてご説明していきたいと思います。

子宮蓄膿症ってどんな病気なの?

子宮蓄膿症は簡単に述べると、子宮内に細菌が侵入し、感染を起こし、子宮の中に膿が溜まることで全身に症状が現れる疾患です。この病気の発症時期には特徴があり、発情出血が起きてから2ヶ月間が要注意です。

発情周期との関係性は?

どうして2ヶ月間なのでしょうか?その原因は人や猫とは一味違う犬の特徴的な性周期にあります。犬の体は妊娠をしたか否かに関わらず、子供を育む準備が万全な子宮になれるようにホルモンバランスを調節します。これを「偽妊娠」と言ったりします。
発情出血が見られてから約1週間後は子宮頚が開きオス犬の精子を受け入れやすくなる時期です。免疫細胞の立場としても精子を攻撃して殺してしまっていけないので、お休みしています。つまり「警備員が不在の鍵の開いた門」状態です。
この時期に大腸菌に代表される細菌が、侵入しやすくなった膣の中へ入り、感染が成立すると考えられています。通常であれば、免疫細胞が応答しますが、ホルモンの作用により免疫を抑制してしまうのです。
その後の約2ヶ月間、本来であれば受精卵を子宮の中で大事に大事に育てる時期であるため、子宮の中は血流が豊富で栄養満点です。しかし、この環境は細菌にとっても最高の環境です。どんどんと繁殖し体調に異変が現れます。

子宮蓄膿症の症状は?

症状としては食欲不振、元気消失、発熱、嘔吐、多飲多尿などそれだけでは子宮蓄膿症とわからない症状を示します。お腹が張ってきたり、子宮から血混じりの膿が出ればこの疾患を疑う根拠として有力です。しかし、子宮蓄膿症には開放性と閉鎖性があるため、どちらも知っておきましょう!

開放性の子宮蓄膿症

開放性の場合は子宮から血膿が出るため飼い主も気づきやすく、膿も体外に排出されます。

閉鎖性の子宮蓄膿症

閉鎖性の場合は血膿が外に出ないため発見しにくく、膿が体外に出ないため重症化しやすくなります。膿の中には細菌が出す毒素が大量に含まれているので、これが血液に乗って身体中に回ることで腎不全やDICという危険な状態に陥ります。割合としては開放性の方が多いですが、閉鎖性は命のリスクがある点で重要度が高いです。

そのため子宮蓄膿症を疑う症状がある場合は直ぐに動物病院で獣医師の診察を受けてください。まずは身体検査を行って全身状態の評価を行い、さらに血液検査、超音波検査、レントゲン検査で全身の状態を詳しく把握します。

子宮蓄膿症の治療は?

治療方針には外科手術で子宮摘出する方法と薬剤を使った内科治療があります。内科治療は効果が出ない場合もあり、次回の発情で高率で再発するなどのデメリットがあるため、全身状態が悪く麻酔に耐えられない可能性がある場合などを除き外科手術を選択することが推奨されます。
症状の重症度、年齢や持病の有無などそれぞれに状態は違うので治療方針については獣医師とよくよく相談しましょう。

子宮蓄膿症を予防するためにできること

このようにできればなりたくない子宮蓄膿症ですが、予防する方法はないのでしょうか?一つは将来妊娠する予定がないのであれば早期に避妊手術をすることです。1歳未満であれば、発情のストレスを軽減してあげられるだけでなく、高齢になってからの乳腺腫瘍の発生率を低下させることができるメリットがあります。
統計的には、6歳以上の妊娠経験のない犬や妊娠経験があっても出産から期間が空くとこの疾患にかかりやすくなることが知られています。

子宮蓄膿症のまとめ

・未避妊かつ未経産のメス犬は高齢になるほど子宮蓄膿症になるリスクが上がる

・予防するためには、発情のストレスを軽減してあげるためにも若齢のうちに避妊手術を受ける

・できれば一年に一回の健康診断を行い、もしも疑わしい症状が見られた時は直ぐに獣医師の診察を受ける

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ABOUTこの記事をかいた人

「ペットの救急医療を可視化する」をミッションに掲げるANICALの獣医師が執筆。ペット2.0を意識した世界観で問題の本質を問うような記事の作成を心掛けています。